● 濱田庄司(1894-1978)
濱田庄司は、近現代の日本を代表する陶芸家の一人です。1894年に東京で生まれ、東京府立一中時代に陶芸家の道を志しました。東京高等工業学校窯業科から京都の陶磁器試験場に入所し、この間に終生の友、河井寛次郎を得ています。 自身の作家活動の軌跡を「京都で道をみつけ、英国で始まり、沖縄で学び、益子で育った」と振り返っているように、大正半ばにバーナード・リーチとともに渡英し、イギリスで陶芸家としての活動をスタートさせます。帰国後は、田舎での生活を望み、1924年に益子に移住しました。この時期には沖縄にも長期滞在し、多くの作品を残しています。1930年に、母屋となる建物(陶芸メッセ・益子に寄贈)を移築し、その後1942年までの間、多くの古民家を邸内に移築し、自身の生活と作陶の場としました。またこの間に、柳宗悦や河井寛次郎らと民芸運動を創始、日本の工芸界に大きな影響を与えました。1955年には、第1回重要無形文化財技術保持者(人間国宝)に富本憲吉らとともに認定され、1968年には、陶芸家として3人目となる文化勲章を受けました。
● 公益財団法人 濱田庄司記念益子参考館と濱田庄司
公益財団法人 濱田庄司記念益子参考館は、濱田庄司自らが長い時間をかけて蒐集した陶磁器、漆器、木工、金工、家具、染織、その他の工芸品を展示・公開するために、自邸の一部を活用するかたちで1977年4月に開館しました。 濱田の蒐集は、日本国内にとどまらず中国、朝鮮、台湾、太平洋諸島、中近東、ヨーロッパ、南米など、また時代も古代から近現代まで多岐にわたります。その蒐集品は、自分の作品が負けたと感じたときの記念として、濱田が購入し蒐集した諸品です。これらは、濱田の眼を楽しませ、刺激し、制作の糧となったもので、身辺に間近く置いて親しんだものでした。益子参考館は、濱田がそれらの品々から享受した喜びと思慮を、広く工芸家および一般の愛好者と共にしたい、また自身が参考としたものを一般の人々にも「参考」にしてほしい、との願いをもって設立されました。