12月9日は当館初代館長で設立者の濱田庄司の誕生日で、今年で128回目を数えます。
当日はそれを記念し、ささやかではありますが、ご来館のお客様に4号館にて温かいほうじ茶を振る舞わせていただきます。師走となり忙しなく冷える頃となりましたが、少しでも暖かくゆっくりとお過ごしいただければ幸いです。
※お茶のご用意は、数に限りがあります。ご了承ください。また感染症対策にもご協力お願いいたします。
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濱田庄司の生い立ちと当館設立について少しお話させていただきます。
濱田は1894年、川崎市溝の口の母の実家で生まれた後、住まいの東京の芝明舟町(現在の新宿区)で育ちました。学生時代に工芸を志し、柳宗悦をはじめとする白樺派の人々や大学の先輩である河井寛次郎、バーナード・リーチなどの知遇を得て民藝運動を興し、田舎の健やかな暮らしの中から生まれる美を求め、益子を暮らしの場と決め移住します。
益子での暮らしは、イギリス郊外の芸術家村を参考にしたと思われる、自分好みにリノベーションした古民家に住み半農半陶の生活を送るという、近代化が進む日本においては時代と逆行しつつも先進的なものでした。それと同時に、民藝運動の仲間たちと各地の工芸産地を調査し支援する活動も展開して行きました。晩年になり、活動と並行し収集していた各地の工芸品を、一般に公開する施設として「益子参考館」を設立。濱田の住まいと工房をそのまま利用した美術館として、今年で45年が経ちました。
当時すでに失われつつあった茅葺きの古民家や、世界各地の貴重な美術品、濱田家の人々が作った庭など、濱田の世界観で統一され里山の中に融合した空間は、濱田の人柄を示すように私たちをおおらかに包み、皆さまをお迎えしています。